前立腺肥大症とはどう違う?
●前立腺がんと前立腺肥大症との区別
前立腺がんと前立腺肥大症の排尿に関する症状は、あるていどの段階まで、前立腺肥大症と前立腺がんには違いがありません。そのため、この二つの病気は素人目ではしばしば間違われてしまいます。
これは前立腺がんも前立腺肥大症も、両方とも前立腺が大きくなるので尿道が圧迫され、排尿に関しては同じような症状があらわれるのです。
ガンの場合、進行するとガン細胞がしみこむように膀胱を侵していくので、前立腺肥大症に比べ、血尿や膀胱が痛くなる膀胱刺激症状がみられることが多いです。また、ガンは骨に転移し、転移した部位の痛みがみられることがありますが、肥大症では絶対に転移しないのでこの症状はみられません。
PSA検査と呼ばれる検査における血清PSAは、前立腺の大きさに比べて前立腺がんのほうが高値を示すことが多くあります。画像診断では、前立腺がんは前立腺肥大症に比べて前立腺壁のいびつさや、前立腺内の画像の不均一性を示すことが多くあるようです。
最終的な前立腺肥大症と前立腺がんとの区別は、前立腺の生検(せいけん・前立腺の一部を取って調べる検査のことです)を行うことで診断が下されます。
●おおまかな症状の違い
前立腺肥大症は、前立腺の病気のなかでもっとも多くみられる病気です。何故なら前立腺の肥大には、加齢によるホルモンバランスの変化が影響するとされているからです。誰でも年と取るのですから患者数が多いのも当たり前です。しかしやっかいなことに、前立腺がんも加齢によるホルモンバランスの変化が原因と考えられているので、前立腺肥大症と前立腺がんは間違われやすいのです。その前立腺肥大症と前立腺がんの大きな違いとなるところは、発生の場所と進行の仕方にあります。
前立腺肥大症は内腺に発生する良性腫瘍です。悪性腫瘍である前立腺がんとは違って周囲に広がったり、骨やほかの臓器に転移することは絶対にありません。
また、前立腺肥大症から前立腺がんに病状が進んでいくことはありません。前立腺が肥大していても、これといった症状があらわれない人もときにはいますが、前立腺肥大症は内腺(尿道を取り囲む部分)で腫瘍が発生するので、尿道が圧迫されて狭くなります。その結果、尿がでにくい、トイレの回数が多くなる、尿をしたあとすっきりしない、などの自覚症状があらわれます。前立腺肥大症はガンではないので、放っておいても生命にかかわるような重大なことにはなりませんが、排尿に関連する症状があらわれるようになると日常生活に支障をきたすこともあるため、病院で適切な治療を受ける必要があります。
一方、前立腺がんは主に外腺(尿道から離れた部分)にガンの腫瘍が発生するため、早期では自覚症状がありません。ガンが進行して腫瘍が大きくなり、尿道や膀胱を圧迫するようになってから、尿がでにくい、トイレの回数が多くなる、尿をしたあとなのにすっきりしないといった排尿時の症状や血尿などの症状があらわれるようになるのです。
□前立腺がん
前立腺の外腺 (辺縁領域)から悪性腫瘍が発生する。
進行すると排尿障害があらわれたり、骨や他の臓器に転移する。
□前立腺肥大症
前立腺の内腺(移行領域)に良性の腫瘍が発生して、尿道や膀胱を圧迫していく。
肥大により尿道が圧迫されて、排尿障害があらわれる。
転移はしない。